注文住宅を建てるとき、多くの人が気にするのは「間取り」「住宅性能」「価格」「デザイン」だと思います。
最近の物価高や建築資材の高騰で、住宅価格の値上げと同時に工務店の倒産件数も増えています。
しかし、家づくりで意外と見落としがちなのが、建築中に住宅会社や工務店が倒産してしまった場合のリスクです。
注文住宅では、完成前に契約金・着工金・中間金など、大きなお金を支払うケースがあります。
もし建築途中で施工会社が倒産してしまうと、工事が止まるだけでなく、すでに支払ったお金が戻らなかったり、別の会社に工事を引き継ぐための追加費用が発生したりする可能性があります。
そんな万が一に備える制度が、住宅完成保証制度です。
この記事では、住宅完成保証の仕組み、保証される内容、住宅瑕疵保険との違い、契約前に確認すべきポイントを分かりやすく解説します。
もし、自分のお家が建築中に工務店が倒産してしまったら……という万が一の事態に備えるための、住宅完成保証について、分かりやすく解説します。
一生に一度とも言える大きな買い物だからこそ、契約前に知っておきたい大切な仕組みです。
住宅完成保証とは?
住宅完成保証とは、注文住宅の建築中に工務店や住宅会社が倒産などによって工事を続けられなくなった場合に、施主の負担を抑えながら住宅完成をサポートする制度です。
簡単に言うと、「建築中に住宅会社が倒産しても、家を完成させるための負担を軽くしてくれる制度」です。
住宅完成保証では、主に以下のような費用が保証対象になる場合があります。
- 前払い金の損失
- 工事を引き継ぐときに追加で必要になる費用
- 増嵩工事費用
- 保証機関が認めた一定範囲の費用
ただし、すべての費用が全額保証されるわけではありません。保証内容や限度額は、保証機関や契約内容によって異なります。
そのため、住宅完成保証は「入っていれば絶対安心」というよりも、万が一の被害を軽くするための重要な備えと考えておくと分かりやすいです。
住宅完成保証で保証される主な内容
住宅完成保証で保証される内容は、保証機関や保証タイプによって異なります。
一般的には、主に次の2つが大きな保証内容になります。
前払い金の損失と言って、すでに住宅会社へ支払ったお金のうち、実際の工事の進み具合よりも多く支払っていた部分が損失になる場合があります。
例えば、すでに1,000万円を支払っていたとしても、実際の工事出来高が700万円分しか進んでいなければ、差額の300万円がリスクになる可能性があります。
このような前払い金の損失を、一定範囲で保証するのが住宅完成保証の大きな役割です。
次に、増嵩工事費用です。
別の会社に工事を引き継いだときに、当初の請負金額よりも追加で必要になる費用のことです。
工事途中の住宅を引き継ぐ場合、新しい施工会社は、現場状況・図面・仕様・施工済み部分の確認を行う必要があります。
そのため、残りの工事費が当初の予定より高くなることがあります。
住宅完成保証では、このような追加費用の一部が保証対象になる場合があります。
住宅完成保証でカバーされないこと
住宅完成保証があれば、すべての損害が保証されるわけではありません。
特に注意したいのは、以下のような費用です。
- 引っ越し延期による仮住まい費用
- 家具・家電の納期変更による費用
- 住宅ローン開始時期のズレによる負担
- 精神的損害
- 保証書に記載されていない費用
- 約款上、保証対象外とされている費用
住宅完成保証はとても心強い制度ですが、保証には限度額や条件があります。
そのため、契約前には必ず、保証証書・約款・保証限度額・対象外費用を確認しておくことが大切です。
住宅瑕疵保険との違い
住宅完成保証と混同されやすいのが、住宅瑕疵保険です。
この2つは、守ってくれるタイミングと内容が違います。
| 項目 | 住宅完成保証 | 住宅瑕疵保険 |
|---|---|---|
| 守るタイミング | 建築中 | 引き渡し後 |
| 主な目的 | 工務店倒産時の完成サポート | 構造・雨漏りなどの不具合への備え |
| 主な対象 | 前払い金・追加工事費 | 構造耐力上主要な部分・雨水の浸入防止部分 |
| 注意点 | 任意制度で保証範囲に条件がある | すべての不具合が対象ではない |
住宅完成保証は、家が完成する前の倒産リスクに備える制度です。
一方で住宅瑕疵保険は、家が完成して引き渡された後の不具合に備える制度です。
名前は似ていますが、役割はまったく違います。
住宅完成保証の公式HPリンク
住宅完成保証について詳しく確認したい方は、以下の公式ページを参考にして下さい。
保証内容や条件は、保証機関によって異なります。
そのため、工務店から「住宅完成保証に対応しています」と説明された場合でも、どこの保証機関で、どの保証タイプなのか、保証限度額はいくらなのかを、必ず確認しておきましょう。
住宅完成保証に加入できる会社の条件
住宅完成保証は、どの住宅会社でも自由に利用できる制度ではありません。
※工務店の財務状況が悪いと、住宅完成保証に入れませんし、仮に入れても枠があるので、自分たちが使えるのかも、確認する必要があります。
多くの場合、保証機関に登録された事業者であることが条件になります。
つまり、工務店や住宅会社が住宅完成保証に対応していなければ、施主が希望しても利用できない場合があります。
契約前には、以下の点を確認しておくと安心です。
- 住宅完成保証に対応しているか
- 保証機関に登録されている事業者か
- 自分の建築予定の住宅で保証を利用できるか
- 保証証書が発行されるか
- 保証期間はいつからいつまでか
特に大切なのは、「住宅完成保証に対応しています」だけで安心しないことです。
実際に自分の契約で保証が使えるのか、保証証書が発行されるのかまで確認しましょう。
契約前に確認すべきチェックリスト
住宅完成保証について工務店に確認するときは、以下のチェックリストを使うと分かりやすいです。
※住宅完成保証チェックリスト
- 住宅完成保証に加入できますか?
- どこの保証機関の制度ですか?
- 保証証書は発行されますか?
- 保証限度額はいくらですか?
- 前払い金はどこまで保証されますか?
- 増嵩工事費用はどこまで保証されますか?
- 保証対象外になる費用は何ですか?
- 保証期間はいつからいつまでですか?
- 工務店が倒産した場合、工事を引き継ぐ会社の紹介はありますか?
- 支払いスケジュールは工事の進み具合に対して先払いになりすぎていませんか?
住宅完成保証は大切ですが、支払いスケジュールも同じくらい重要です。
完成前に支払いが進みすぎていると、万が一のときに損失が大きくなる可能性があります。
契約金・着工金・中間金・最終金のバランスが、工事の出来高に対して適切かどうかも確認しておきましょう。
住宅完成保証がある工務店を選ぶメリット
住宅完成保証がある工務店を選ぶメリットは、万が一の安心だけではありません。
保証機関への登録には、一定の審査が必要になる場合があります。
そのため、住宅完成保証に対応していることは、工務店の信頼性を判断するひとつの材料になります。もちろん、完成保証があるからといって、絶対に倒産しないという意味ではありません。
しかし、家づくりは数千万円単位の大きな契約です。
万が一の備えがあるかどうかは、契約前にしっかり確認しておきたいポイントです。
特に、地域密着型の工務店や中小ビルダーで注文住宅を建てる場合は、住宅完成保証の有無を確認しておくと安心です。
まとめ
住宅完成保証とは、建築中に住宅会社や工務店が倒産してしまった場合に、前払い金の損失や追加工事費用を一定範囲で保証し、住宅完成をサポートする制度です。
注文住宅では、完成前に大きなお金を支払うことがあります。
そのため、建築中の倒産リスクは決して他人事ではありません。
ただし、住宅完成保証には保証限度額や対象外となる費用があります。
また、保証内容は保証機関や契約約款によって異なります。
契約前には、以下の点を必ず確認しましょう。
- 住宅完成保証に加入できるか
- 保証証書が発行されるか
- 保証機関はどこか
- 保証限度額はいくらか
- 対象外となる費用は何か
- 支払いスケジュールが先払いになりすぎていないか
住宅完成保証は、家づくりの不安を減らすための大切な制度です。
注文住宅を検討している方は、価格や性能だけでなく、万が一の保証体制まで確認してから契約することをおすすめします。

